ハッセルブラッド X2D II 100C、質感の中判体験


目次

概要

FUJIFILM GFX100S II、FUJIFILM GFX100 IIとハッセルブラッド X2D II 100Cを並べると、同じ中判クラスでも設計思想の違いが鮮明に立ち上がります。GFXは機動力と多機能性を軸に、俊敏なAFや連写、動画まで視野に入れた総合力で幅広い現場へ適応。一方、X2D II 100Cは静止画にフォーカスし、撮影から仕上げまでの色再現と階調表現、触感的な操作体験を通じて“作品化”を後押しします。

いずれも約1億画素級の解像を持ちながら、GFXはスピードとコントロールの豊かさ、X2D II 100Cはハイライトから暗部までの自然なつながりや立体感の描写が強み。操作系も差があり、GFXは現場で設定を詰める自由度、X2D II 100Cは迷いを減らす統一感のあるUIで集中を保ちます。実際に触ってみると、X2D II 100Cは「余計なものが視界からスッと消える」ような感覚があり、必要な情報だけが静かに目の前に残る印象です。

レンズ選択ではGマウントの充実が魅力で、ズーム・単焦点ともに幅広い焦点距離をカバーし「なんでも撮れる安心感」がある一方、XCDは開放描写と質感表現で独特の世界観を作る印象。ポートレートや建築、プロダクトの質感重視ならX2D II 100C、ワークフローの多様化や速度重視ならGFXという住み分けが見えてきます。読み進めるほど、数値では語りきれない違いが具体的に掴めるはずです。

比較表

機種名 ハッセルブラッド X2D II 100C ボディ FUJIFILM GFX100S II FUJIFILM GFX100 II
画像
センサーサイズ 43.8 × 32.9 mm 43.8 × 32.9 mm 43.8 × 32.9 mm
有効画素数 約100MP 約102MP 約102MP
最大解像度(静止画) 11656 × 8742 11648 × 8736 11648 × 8736
センサータイプ BSI CMOS BSI CMOS BSI CMOS
常用ISO最小 ISO 50 ISO 80 ISO 80
常用ISO範囲 ISO 50〜25600 ISO 80〜12800 ISO 80〜12800
拡張ISO範囲(最大) 拡張設定なし(ISO 50〜25600) ISO 40〜102400(拡張) ISO 40〜102400(拡張)
手ブレ補正方式 5軸ボディ内手ブレ補正 5軸ボディ内手ブレ補正 5軸ボディ内手ブレ補正
手ブレ補正効果 最大10段 最大8.0段 最大8.0段
AF方式 ハイブリッドAF(位相差+コントラスト)+LiDARアシスト ハイブリッドAF(位相差+コントラスト) ハイブリッドAF(位相差+コントラスト)
連写速度(最高) 約3コマ/秒 約7コマ/秒 約8コマ/秒
内蔵ストレージ 1TB SSD内蔵 内蔵ストレージなし 内蔵ストレージなし
外部記録メディア CFexpress Type B SD(UHS-II)×2、外部SSD(動画) SD(UHS-II)+CFexpress Type B、外部SSD
静止画ファイル形式 3FR RAW、JPEG、HEIF RAW(RAF)、JPEG、HEIF、TIFF RAW(RAF)、JPEG、HEIF、TIFF
カラー処理/色再現 Hasselblad Natural Colour Solution(HNCS)、HDR フィルムシミュレーション フィルムシミュレーション
レンズマウント Hasselblad X FUJIFILM G FUJIFILM G
対応レンズ XCD(アダプタでHC/HCD、XPan、Vなど) GFレンズ GFレンズ
USB端子規格 USB 3.1 Gen2 Type-C USB Type-C(USB 3.2 Gen2x1) USB Type-C(USB 3.2 Gen2x1)
本体サイズ 148.5 × 106 × 75 mm 150.0 × 104.2 × 87.2 mm 152.4 × 117.4 × 98.6 mm
質量 約840 g(バッテリー含む) 約883 g(バッテリー・カード含む) 約948 g(バッテリー・カード含む)

比較詳細

ハッセルブラッド X2D II 100Cを手にした瞬間、まず感じるのはその造形美と質感の高さであり、金属の冷たさと精緻な仕上げが指先に伝わることで撮影前から特別な体験が始まる。FUJIFILM GFX100S IIやGFX100 IIも確かに高級感を備えているが、触れたときの印象はやや軽快で、実用性を重視した設計思想が前面に出ているように思える。実際に構えた際、X2D II 100Cは重量感がありながらもバランスが良く、撮影姿勢を安定させる効果があり、長時間の使用でも不思議と疲労感が少ない。一方でGFX100S IIは軽量さが魅力で、持ち歩きやすさを優先するならこちらが快適だが、構えたときの安定感はやや異なる印象を受ける。

画質面では三機種ともに1億画素クラスの解像度を誇り、細部まで克明に描写する力は圧倒的だが、実際に撮影してみると微妙なニュアンスの違いが浮かび上がる。X2D II 100Cは色の深みと階調の豊かさが際立ち、特に自然光の下での再現性が滑らかで、陰影のグラデーションが柔らかく広がる。朝夕の斜光で金属や石の質感を撮ると、「ここまで粘ってくれるか」と思うほどハイライトとシャドウの情報が残り、後処理でも破綻しづらい手応えがある。

これに対してGFX100 IIはダイナミックレンジの広さを強く感じ、コントラストの強い場面でも安心感がある。特に建築や夜景のように、点光源と暗部が同居するシーンでは、線のシャープさと階調の粘りが同時に求められるが、その両方を高いレベルで満たしてくれる印象だ。GFX100S IIは全体的に軽快な発色で、鮮やかさが前面に出るため、ポップな印象を好む人には心地よい仕上がりになる。日常スナップでラフに撮っても、画が破綻しにくく「とりあえずこれを持ち出しておけば安心」という気楽さがある。

操作性に関しては、X2D II 100Cのメニュー構成はシンプルで直感的に扱えるよう設計されており、撮影に集中できる環境が整っている。タッチパネルの反応も滑らかで、設定変更がストレスなく行える点は大きな魅力だ。メニュー階層も整理されていて、「あの設定どこだっけ?」と迷子になりにくい。GFX100 IIはプロフェッショナル向けに細かい設定項目が豊富で、カスタマイズ性に優れるが、初めて触れるとやや複雑に感じることもある。GFX100S IIはその中間に位置し、扱いやすさと機能性のバランスが取れているが、X2D II 100Cの洗練されたUIに比べると少し実務的な印象を受ける。

シャッターを切ったときの感覚も三者三様で、X2D II 100Cは静粛性が高く、振動が抑えられているため、撮影後に残る余韻が心地よい。スタジオで静かな空気の中シャッターを切っても、周囲の空気を乱さないしっとりした感触で、「作品モード」にスッと入っていける。GFX100 IIはメカニカルな感触が強く、撮影行為そのものを実感させる力があり、撮る楽しさを演出する。GFX100S IIは軽快でテンポよく撮影できるため、スナップ的な使い方に向いていると感じた。こうした違いはスペック表だけでは伝わらない部分であり、実際に体験すると撮影スタイルに直結する。

オートフォーカス性能では、X2D II 100Cは精度重視で、被写体をじっくり捉える印象が強い。位相差AFとコントラストAFに加えてLiDARアシストが効くシーンでは、ピント面の「決まり方」が一段シャープになる感覚があり、特にポートレートで瞳を追うときに安心感がある。動きの速い場面ではGFX100 IIの追従性能が優れており、スポーツや動物撮影などで安心感がある。GFX100S IIは軽快さを活かし、日常的なシーンで素早く反応するため、街角でのスナップや旅行先での記録に適している。実際に試してみると、X2D II 100Cは作品制作に集中する人に向いており、GFX100 IIは幅広いジャンルに対応できる万能型、GFX100S IIは気軽に高画質を楽しみたい人に合うと感じた。

ボディの質感やデザイン性も選択の決め手になり得る。X2D II 100Cは工芸品のような佇まいで、所有欲を満たす力が強い。撮影していない時間でさえ机に置いて眺めるだけで満足感が得られるほどだ。GFX100 IIは機能美を追求したデザインで、プロの現場に馴染む堅牢さがある。GFX100S IIはシンプルで持ちやすく、実用性を前面に押し出しているため、日常使いに自然に溶け込む。

実際に撮影した写真を見比べると、X2D II 100Cは空気感まで写し取るような透明感があり、風景写真ではその場の空気を閉じ込めたような印象を受ける。曇天の海辺や、夕方の街路樹の下など、光がフラットな場面でも画が「沈まずに立ち上がる」感じがあって、レタッチで少しコントラストを足すだけで完成形に近づくのが扱いやすい。一方でGFX100 IIは力強さがあり、建築物や工業的な被写体を撮ると線のシャープさが際立ち、迫力を感じさせる。GFX100S IIは柔らかさがあり、人肌や自然の色合いを軽快に表現するため、ポートレートや日常の記録に適していると感じた。

総合的に見れば、三機種ともに圧倒的な性能を備えているが、体感としてはそれぞれ異なる方向性を持っている。X2D II 100Cは作品制作に没頭するための道具であり、撮影そのものを芸術的な体験へと昇華させる力がある。GFX100 IIは万能性と堅牢さを兼ね備え、幅広いジャンルに対応できる安心感がある。GFX100S IIは軽快さと扱いやすさを武器に、日常を高画質で切り取る楽しさを提供してくれる。

個人的な感覚としては、X2D II 100Cでじっくりと一枚を仕上げていく時間は、撮影というより「作品づくりの儀式」に近いものがあり、現場での空気や音、匂いまで含めて記憶に残りやすい。一方でGFX100S IIは、旅行カバンに放り込んでおいて、気になった場面をテンポよく拾っていく相棒というイメージ。GFX100 IIは、現場がハードでも「このボディなら大丈夫だろう」と思わせてくれる頼もしさがあり、仕事モードのスイッチを入れてくれるような存在だ。スペック表では同じ1億画素クラスでも、実際に触れて撮影するとその違いは確かに感じられ、どの機種を選ぶかは自分の撮影スタイルや求める体験によって決まるだろう。X2D II 100Cを使うと、ただ写真を撮るだけではなく、撮影行為そのものが特別な時間に変わることを実感できる。

まとめ

総評はハッセルブラッド X2D II 100Cが首位。階調の粘りと色の深みが画面の“空気”まで写し取り、撮影中の迷いを消してくれる。手持ちでの歩留まりも高く、ボディ内手ブレ補正とAF、操作の洗練で作品制作の集中が途切れない。自己体験では、曇天の街角でも黒が潰れず、白が浮かず、質感が静かに立つのが印象的だった。評価は9.5点。

次点はFUJIFILM GFX100S II。軽快な取り回しと端正な色のまとまりが秀逸で、日常に持ち出せる中判として完成度が高い。スナップからポートレートまで、機動力と画作りのバランスが心地よく、「とりあえずこれを肩に掛けて出ていけば、だいたいのシーンはカバーできる」という安心感がある。評価は9.0点。

三位はFUJIFILM GFX100 II。高機動かつ堅牢な操作系、精緻でクリーンな描写はプロの現場で強い。大型ボディゆえに気軽さはGFX100S IIに一歩譲るものの、スタジオやロケで用途を絞って投入すると真価が際立つ。広告や建築、ムービー撮影を含めたハイブリッド運用を考えるなら、これ一台で太い幹を作れる存在だ。評価は8.8点。

ベストチョイスは、作品制作で“質感”を極めたいならX2D II 100C、機動力重視ならGFX100S II。GFX100 IIは、動画や高速連写を含めて「現場での万能性」を求める人にフィットする。総合おすすめはX2D II 100C。撮影体験そのものを変えたいなら、一度じっくり向き合ってみる価値がある一台だと感じる。

引用

https://www.hasselblad.com/ja-jp/cameras/x-system/x2d-ii-100c/

https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/gfx100s-ii/

https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/gfx100-ii/

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