目次
概要
Rollei 35AF、Leica M6。二つの人気機種を軸に、PENTAX 17がフィルム撮影にどんな新しい体験をもたらすかを見ていきます。オートフォーカス中心のRollei 35AFは、街角での瞬間を逃さず拾うテンポの良さが魅力で、スナップの歩幅に自然に寄り添います。マニュアル操作が基盤のLeica M6は、レンジファインダー特有の視界とピント合わせのプロセスが撮影の密度を高め、意図と作法を写し込む楽しさが濃厚です。そこにハーフ判のPENTAX 17が加わると、同じフィルムでも枚数が増えることで実験と物語の展開が軽やかになり、連続性のあるシーン構成や日常の断片を編むスタイルがぐっと身近になります。機動力の感触も異なり、Rollei 35AFは反応の速さ、Leica M6は安定した操作の心地よさ、PENTAX 17は軽快さと記録密度の両立が印象的です。露出やピントの扱い方も三者三様で、結果として撮影者のリズムや集中の置きどころが変わり、同じ場面でも選ぶフレーミングや歩く速度、シャッターを切るタイミングが不思議と変化します。PENTAX 17は、たくさん撮ることへの心理的ハードルを下げつつ、連写的ではなく連続的に物語を紡げる点が独特で、失敗を恐れず試せる余白が生まれます。一方で、Rollei 35AFの確実性、Leica M6の練達の操作感は、それぞれの美徳として揺るぎません。三機種の違いは単なる機能差ではなく、撮影者の意図の立て方と現場との距離感を変える要素の集合体です。ここからは、持ち出すシーン別の使い分け、描写の傾向、運用のしやすさを掘り下げ、PENTAX 17が日々の撮影をどう柔らかく拡張するのかを具体的に見ていきます。
比較表
| 機種名(固定文言) | PENTAX 17 | Rollei 35AF | Leica M6 |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| 撮影フォーマット | ハーフサイズ | 35mm | 35mm |
| 画面サイズ | 24×17mm | 36×24mm | 36×24mm |
| フィルム種類 | 35mm | 35mm | 35mm |
| ISO感度設定範囲 | 50〜3200 | 6〜6400 | |
| レンズ焦点距離 | 25mm(35mm判換算約37mm) | 35mm | 交換式(Leica Mマウント) |
| レンズ開放絞り値 | F3.5 | F2.8 | レンズに依存 |
| レンズ構成 | 3群3枚 | 5枚構成 | レンズに依存 |
| フィルター径 | 40.5mm | レンズに依存 | |
| 最短撮影距離 | 0.25m | 0.7m | レンズに依存 |
| フォーカス方式 | ゾーンフォーカス(6ゾーン) | オートフォーカス(LiDAR) | レンジファインダー手動 |
| 露出モード | 複数モード(フルオート、低速、絞り優先、バルブ等) | マニュアル露出・自動露出 | マニュアル、バルブ |
| 測光方式 | 部分測光 | TTLセンターウェイト | |
| 露出補正 | ±2EV(1/3EVステップ) | ||
| シャッタースピード範囲 | 1/350〜4秒 | 1秒〜1/1000秒(X=1/50秒) | |
| フラッシュ | 内蔵 | ホットシュー・PCシンク | |
| 電源 | CR2(3V)×1 | SR44×2 または DL 1/3N×1 | |
| フィルム巻き上げ | 手動レバー | 手動レバー | 手動レバー |
| フィルム巻き戻し | クランク式手動 | 手動(タブ) | クランク式手動 |
| ボディサイズ | 127×78×52mm | 104×75×56mm | 138×77×40mm |
| 質量 | 290g | 575g(電池含まず) | |
| ビュー/ファインダー | ブライトフレーム、視野補正枠 | ブライトフレーム、視差自動補正 | |
| 三脚ネジ | 1/4インチ | ||
| ボディ素材 | フルメタル、真鍮トップ/ボトム | ||
| 発売年 | 2024年 | 2024年 | 1984年(復刻版あり) |
比較詳細
ペンタックス17を手にしたとき、まず感じるのはそのコンパクトさと軽快な操作感である。フィルムを巻き上げる際のクリック感は、Rollei 35AFの電子的な挙動とは異なり、指先に確かな機械的なリズムを伝えてくれる。Leica M6のレンジファインダー方式と比べると、視認性やピント合わせの精度ではやや異なる体験になるが、むしろ直感的に撮影へと導かれる感覚が強い。実際に街角でスナップを試みると、ペンタックス17は構えた瞬間に撮影者の気持ちを軽くし、Rolleiのオートフォーカスがもたらす安心感とは別の、手で操作する楽しさを呼び起こす。
Rollei 35AFはオートフォーカスによる利便性が際立ち、被写体を素早く捉える場面では確かに便利だ。しかしその一方で、ピントが合うまでのわずかな待ち時間が撮影者の集中を削ぐこともある。ペンタックス17では自分の指先でピントを合わせるため、撮影行為そのものに没入できる。Leica M6のレンジファインダーは精密さと信頼性を誇るが、慣れるまでに一定の時間を要する。ペンタックス17はその点で敷居が低く、初心者でも直感的に扱える点が魅力だと感じた。
ファインダーを覗いたときの印象も三者で異なる。Leica M6はレンジファインダー特有の二重像を重ね合わせる方式で、精密なピント合わせが可能だが、慣れないと戸惑うこともある。Rollei 35AFは電子的な表示がシンプルで、撮影に集中しやすい。ペンタックス17は視野が明るく、構図を決める際に余計な情報が少ないため、被写体に意識を集中させやすい。実際に撮影してみると、構図を決めるスピードが自然と速くなり、撮影のテンポが軽快になる。
シャッターを切った瞬間の感触も印象的だ。Leica M6は重厚で静かな音が響き、撮影者に安心感を与える。Rollei 35AFは電子的な制御音がやや軽く、機械的な満足感は少ない。ペンタックス17はその中間に位置し、軽快ながらも確かなクリック感があり、撮影者の指先に心地よい余韻を残す。実際に数本のフィルムを通してみると、この感触が撮影のモチベーションを高め、次のカットを撮りたくなる衝動を自然に生み出す。
フィルム装填のしやすさも比較すると違いが際立つ。Leica M6はクラシカルな装填方式で、慣れると確実だが初めての人には少し複雑に感じる。Rollei 35AFは自動的な巻き上げ機構が便利だが、機械任せになる分、撮影者の関与が薄れる。ペンタックス17はシンプルで直感的な装填が可能で、フィルムを扱う楽しさを残しつつも煩わしさを感じさせない。実際に手でフィルムをセットする瞬間に、撮影への期待感が高まるのはこの機種ならではの体験だ。
持ち歩いた際の印象も重要だ。Leica M6は重量感があり、撮影者に「本格的な機材を持っている」という意識を強く与える。Rollei 35AFは軽量でポケットに収まるサイズ感が魅力だが、ややプラスチック的な質感が日常使いでは物足りなく感じることもある。ペンタックス17は軽快さと堅牢さのバランスが取れており、手にした瞬間に安心感と気軽さが同居する。街歩きや旅行で長時間持ち歩いても疲れにくく、撮影を続ける意欲を維持できる。
撮影結果の印象も比較すると面白い。Leica M6はレンジファインダーの精度とレンズ性能が相まって、緻密で立体感のある描写を生み出す。Rollei 35AFはオートフォーカスによる安定したピントで、失敗の少ない写真が得られる。ペンタックス17は描写のシャープさよりも、撮影者が構図や瞬間を楽しむことに重点が置かれているように感じる。実際に現像した写真を並べると、Leicaの精密さ、Rolleiの安定感、そしてペンタックスの軽快さがそれぞれ異なる個性を放ち、撮影者の体験が写真に反映されていることが分かる。
操作系の違いも体感に直結する。Leica M6はダイヤルやレバーの質感が重厚で、操作するたびに機械的な満足感がある。Rollei 35AFはボタン操作が中心で、簡便さはあるが触感的な楽しみは少ない。ペンタックス17はダイヤルやレバーが軽快で、指先で操作する楽しさが強調される。実際に撮影を繰り返すと、この操作感が撮影行為そのものを遊びのように感じさせ、写真を撮ることが日常の中で自然に溶け込む。
総合的に見て、ペンタックス17はスペックだけでは語れない魅力を持っている。Rollei 35AFの利便性やLeica M6の精密さと比べると、確かに技術的な差はある。しかし実際に使ってみると、撮影者が感じる軽快さや直感的な楽しさが圧倒的に印象に残る。フィルムカメラを使う喜びは、単なる性能比較ではなく、撮影者がどのように写真と向き合うかに直結する。ペンタックス17はその体験を最も自然に引き出してくれる存在であり、撮影を続けたいという気持ちを強く刺激してくれる。
まとめ
まずPENTAX 17が最も心を動かした。軽快な巻き上げと6ゾーンのフォーカス切替は手の記憶に馴染み、明快なファインダー内のゾーンマークやフラッシュ表示が撮影の流れを途切れさせない。ハーフサイズのフレーミングは二コマで一作を構成する遊び心を後押しし、街のリズムや旅の断片を連ねる楽しさが格別だった。何本も回していくうちに、粒子が絵の具のように画面に乗り、現像上がりを待つ時間さえ作品の一部に感じられた。次にRollei 35AF。オリジナルの意匠を受け継いだコンパクトな躯体にAFとAEが加わり、直感的にスナップへ踏み出せる。LiDARの素早さとレンズの切れ味で逆光でも安心して切れる場面が多かった一方、シャッターの作動感は好みが分かれそうで、開放で晴天を攻める際の制約も時折気になった。それでも持ち出したくなる魅力は強い。三番手はLeica M6。機械式の密度が手のひらに伝わり、シャッター音と巻き上げの一連が撮る意志を研ぎ澄ませる。レンジファインダーで焦点を掴む体験は他に代え難く、露出計の控えめな支えで自分の判断を育ててくれる。ただし日常の歩幅に合わせるには準備と集中が必要で、僕の今の使い方では「作品」に向く時間に活躍した。総評として、日々を軽やかに紡ぎたいならPENTAX 17、クラシックの気品を現代的に味わうならRollei 35AF、構図と焦点に没入して一枚を仕上げたいならLeica M6。ベストチョイスはPENTAX 17。撮る楽しさが最短距離で立ち上がり、失敗も含めて写真が生活の呼吸に溶ける。迷ったらこれで始め、感性が深まったらRollei 35AFかM6へ踏み出せばいい。
引用
https://www.ricoh-imaging.co.jp/english/products/pentax-17/
https://mintcamera.com/rollei35af
https://leica-camera.com/en-US/photography/film-cameras/m6
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