シグマ 135mm F1.4 DGで描く中望遠の魔法

目次

概要

Sony FE 24-70mm F2.8 GM II、Canon RF70-200mm F2.8 L IS USM。ズームの王道2本と、中望遠単焦点のシグマ 135mm F1.4 DGを並べると、意図の作り方がまるで違って見えてきます。ズームは現場での柔軟性が大きな強みで、焦点距離の自由度が撮影テンポを支えます。一方で135mm F1.4は「決めにいく」一本。開放からの浅い被写界深度で背景を潔く溶かし、被写体の輪郭と質感を強く引き出す表現が得意です。屋外ポートレートや被写体との距離を確保したいシーンでは、圧縮効果が効いた立体感のある絵が素直に作れます。ズームの機動力に対して、単焦点はフレーミングの歩み寄りが必要ですが、その分だけ構図と光を丁寧に選ぶ楽しさが前に出ます。F2.8ズームのボケ量は扱いやすく、歩留まりを高めたい現場向き。対してF1.4の描写は「主役を抜き出す」力が強く、ハイライトの滲みや前後の滑らかさに個性が宿ります。重量・取り回しはズームが有利な場面もありますが、撮る理由が明確なときの満足度は135mmが一歩上。手ぶれ補正の有無や最短撮影距離など、運用面の違いも選択のポイントになります。万能か、尖りか。次の一枚で何を伝えたいかを思い浮かべながら、続きで具体的な使い分けを掘り下げます。

比較表

シグマ 135mm F1.4 DG | Art

機種名(固定文言) SONY FE 24-70mm F2.8 GM II Canon RF70-200mm F2.8 L IS USM
画像
レンズタイプ 単焦点 ズーム ズーム
対応マウント Lマウント / ソニーE ソニーE キヤノンRF
焦点距離 135mm 24-70mm 70-200mm
開放絞り F1.4 F2.8 F2.8
最小絞り F16 F22 F32
レンズ構成(群-枚) 13-17 15-20 13-17
絞り羽根枚数 13(円形絞り) 11(円形絞り) 9(円形絞り)
最短撮影距離 1.10m 0.21m(広角)/ 0.30m(望遠) 0.70m
最大撮影倍率 1:6.9 0.32倍 0.23倍(200mm時)
フィルター径 105mm 82mm 77mm
最大径 111.7mm 87.8mm 89.9mm
長さ 135.5mm(L)/ 137.5mm(E) 119.9mm 146.0mm
質量 1,430g(L)/ 1,420g(E) 695g 1,070g
手ブレ補正 非搭載 非搭載(ボディ側対応) 光学式IS搭載
AF駆動モーター HLA(デュアルリニア) XDリニアモーター ナノUSM(デュアル)
防塵防滴 対応 対応 対応
テレコンバーター対応 非対応 非対応 非対応
フォーカス方式 インターナルフォーカス インターナルフォーカス インターナルフォーカス
絞りリング 搭載 搭載 非搭載
ロックスイッチ 搭載 搭載(ズーム/絞り) 搭載(ズーム)
カスタムボタン AFLボタン×2 フォーカスホールドボタン フォーカスホールドボタン
フルサイズ対応 対応 対応 対応
発売日 2025年9月25日 2022年6月10日 2019年11月21日

比較詳細

シグマ135mm F1.4 DGを手にした瞬間、まず感じるのは圧倒的な開放値の余裕から生まれる描写力である。背景がふわりと溶けるように消え、被写体だけが浮かび上がるその立体感は、他のズームレンズではなかなか得られない体験だ。Sony FE 24-70mm F2.8 GM IIは万能性に優れ、焦点距離を自在に変えられる利便性があるが、開放値の違いからくるボケの質感は明らかに異なる。Canon RF70-200mm F2.8 L IS USMも望遠域での柔らかい描写を得意とするが、F1.4の極端な浅い被写界深度が生み出す空気感には一歩譲る印象を受ける。

実際にポートレートを撮影すると、シグマ135mmは瞳にピントを合わせた瞬間に周囲が劇的に溶け落ち、人物がまるで舞台のスポットライトを浴びているかのように際立つ。Sonyのズームでは背景の情報がある程度残り、環境を活かした表現が可能だが、被写体を強調する力は単焦点の開放値に軍配が上がる。Canonの70-200mmは手ブレ補正の恩恵で安定した撮影ができ、動きのある場面でも安心感があるが、静止した被写体をじっくり切り取る際の濃密な描写はシグマの方が印象的だった。

風景撮影においても違いは顕著だ。シグマ135mmは遠景の山並みを切り取ると、空気の層まで写し取るような透明感があり、光の差し込み方によっては絵画的な表現が可能になる。Sony FE 24-70mmは広角から中望遠までをカバーするため、構図の自由度が高く、旅行や日常の記録には非常に便利だが、画面全体に均質なシャープさを求める場面ではシグマの単焦点ならではの解像感が際立つ。Canon RF70-200mmは望遠端で圧縮効果を活かしたダイナミックな構図が得意で、スポーツやイベント撮影では強みを発揮するが、純粋に光の質感を楽しむならシグマの描写が心に残る。

操作感の面でも違いがある。シグマ135mmは重量感があり、長時間の持ち歩きでは負担を感じることもあるが、その重みが安定感につながり、しっかり構えて撮影するとブレに強い印象を受けた。Sonyのズームは軽快で、街中を歩きながらスナップする際に自然に構えられる。Canonの70-200mmはバランスの取れた設計で、手持ちでも取り回しやすいが、シグマの単焦点を構えたときの「撮るぞ」という気持ちの高まりは特別なものだった。

色再現についても差が感じられる。シグマ135mmは深みのある色調で、特に赤や青の発色が濃密に感じられ、写真全体にドラマ性を与える。Sony FE 24-70mmはニュートラルで自然な色合いを保ち、後処理で自在に調整できる柔軟性がある。Canon RF70-200mmは鮮やかさと柔らかさのバランスが良く、肌のトーンを美しく表現するが、シグマの濃厚な色乗りは作品として仕上げたときに強い印象を残す。

実際に撮影を繰り返すと、シグマ135mmは「作品を作るためのレンズ」という感覚が強く、撮影者に集中力を求める。Sonyのズームは「日常を逃さず記録する道具」としての安心感があり、Canonの望遠ズームは「動きを確実に捉える相棒」として信頼できる。それぞれのレンズに役割があるが、被写体を際立たせたい、写真に強烈な印象を残したいという欲求にはシグマが最も応えてくれると感じた。

背景のボケ方も大きな違いを生む。シグマ135mmは点光源が円形に美しく滲み、夜景ポートレートでは幻想的な雰囲気を演出できる。Sony FE 24-70mmではボケがやや硬めに感じられる場面もあり、環境描写を重視する撮影に向いている。Canon RF70-200mmはボケが滑らかで自然だが、シグマの極端な開放値によるボケの量感には及ばない。実際に撮った写真を見比べると、シグマの描写は「被写体だけを残す」という強烈な印象を与え、他のズームでは得られない没入感を味わえた。

総じて、シグマ135mm F1.4 DGは単なるスペックの優位性ではなく、撮影者の心に響く体験を提供するレンズだと感じた。Sony FE 24-70mm GM IIやCanon RF70-200mm L IS USMはそれぞれの強みを持ち、場面によっては欠かせない存在だが、写真を「作品」として仕上げたいとき、シグマの描写は他には代えがたい魅力を放つ。撮影後に写真を見返すと、その差は数値以上に体感でき、次の撮影でもまた使いたくなる衝動に駆られる。

まとめ

まず、シグマ 135mm F1.4 DG | Artは、開放から立体感が際立ち、背景がふわりと溶ける描写に心を掴まれました。ポートレートでは被写体の輪郭に気品が出て、光がにじむようなボケが空気を含んだ質感を生みます。中距離で被写体に向き合うと、視線が迷わないフレーミングと圧縮効果が自然に整い、撮る前から「ここで切る」感覚が降りてくる。移動の多い現場では重さがネックですが、一枚に賭ける時間を許してくれるレンズです。次点はSony FE 24-70mm F2.8 GM II。ワイドから標準、軽い望遠まで迷いなく繋がり、AFの食いつきと操作系の手応えが撮影のリズムを途切れさせません。軽量化の恩恵でロケを通して集中力が途切れず、色乗りは癖が少なく、後処理の自由度が高いのも好感。三番手はCanon RF70-200mm F2.8 L IS USM。望遠域の張りのある解像と安定した手ブレ補正で、動きものや遠目のスナップが安心。色再現は素直で作品に品が出る一方、私の使い方では望遠域に滞在する時間が長く、機動性の面で出番が限られました。総括として、被写体と距離を丁寧に選び抜き「一枚の説得力」を重視するならシグマが最良、日常の取材や作品作りを一本で広く支える万能性ならソニー、遠景や動体の安定運用と望遠表現の質感ならキヤノンが堅実。ベストチョイスは、ポートレートと作品撮りの没入体験を最優先する私の使い方において「シグマ 135mm F1.4 DG | Art」をおすすめします。

引用

https://www.sigma-global.com/jp/lenses/art/135mm-f1-4-dg/

https://www.sony.jp/ichigan/products/SEL2470GM2/

https://canon.jp/camera/rf-lenses/rf70-200-f2-8-l-is-usm


※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます

タイトルとURLをコピーしました